2019.5.23
狭山集会での発言を採録します。
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反戦を第一の仕事とし、女性解放のため闘う、婦人民主クラブ全国協議会広島支部の保科衣羽です。
個人的なことを言えば、私が狭山集会へ参加するのは2回目です。最初に参加したときには、狭山事件のことをほとんど知りませんでした。2016年の下山鑑定で、証拠品の万年筆は偽物だという事実が公表されたあとの頃でした。そのほかにも、腕時計、筆跡など、あらゆる証拠が石川さんの無実と警察によるでっちあげを証明していました。
部落民差別という不条理が、部落民と部落民以外を分断し、警察の横暴を見過ごし、司法の冷酷さをゆるしているのかと思い、怒りや落胆やさまざまな感情が胸にうずまいたのを覚えています。
同様に、星野文昭さんの闘争についても当時のわたしはよく知りませんでした。もちろん今はよく知っています。石川さん星野さんのことを知れば知るほど、警察や司法の暴力性があらわになっていきました。
婦民での活動や学習を重ねていくうちに、民衆を分断し、支配し、戦争をするために差別が必要なんだということもはっきりわかるようになりました。
日本帝国主義が周辺のアジア諸国を侵略し植民地化していく過程には、中国人や朝鮮人を低く見る差別意識の植え付けが絶対的に必要でした。
また、兵隊の性処理のために戦地へ連れて行かれた従軍慰安婦のひとたちは、心身を病んだり、慰安婦であったことで戦後に蔑まれたりもしました。日本の満州開拓団も、女性をロシア兵への接待、性的サービスに差し出すことで生き延びたという話もありました。
性的に男性に従属する存在であることと、性的に慎ましくあることの要求を、社会は女性に対し抑圧的に求めます。現在でも性暴力被害者である女性たちが世間でどのような扱いをされているか。慰安婦問題をとおして、女性差別のありかたは何も変わっていないことがわかります。
ちょうど先月の学習会で、朝鮮半島から強制連行された徴用工のひとたちの遺骨発掘と返還の活動をしている、仏教の僧侶のお話を聞くことができました。日本政府と韓国政府のさまざまな政治的な思惑にふりまわされながらも、国境を超えて手を携えたひとたちによって成し遂げられたもので、これは私たちに大いなる感動と希望を与えましたので、付け加えておきます。
いま、入管法が改悪され、外国人労働者が日本でこれまで以上に劣悪な労働条件で働かされ、人権を蹂躙されることが懸念されています。
特に、福島原発はいまから廃炉作業が本格化していきますが、これまでにもすでに、騙されて除染作業をさせられた外国人労働者がいるといいます。危険な被ばく労働を外国人労働者にさせて健康被害が生じたら、いったい誰がどうやってその責任をとるというのでしょうか。
病気になろうが飢えようが死のうがかまわない、そんな奴隷労働を外国人にさせることを見過ごすのは、労働者民衆の連帯をはばもうとする国家権力の思惑に乗せられることでしかありません。
差別は権力の武器です。
天皇制ももちろんそうです。生まれながらに身分が決まっている、まがうことなき差別思想です。天皇代替わりの大合唱と労働運動弾圧が一体のものとしておこなわれているのは明らかです。
出自、国籍、人種、民族、性別、あらゆる差別を国家権力は利用して、民衆を分断し、支配します。私たちがすべきことは、分断を乗り越え、連帯することです。
石川さんや星野さんの再審無罪、部落解放、沖縄新基地阻止、安倍の改憲阻止、全原発廃炉、反戦、反核、労働運動、あらゆる場所であらゆるひとたちが、闘っています。すべてが国家権力による分断との闘いであり、すべてを取りこぼさず連帯によって勝ちとることが、戦争のない世界へ続く道です。
全学連の学生の決起、ほらぐちともこ議員をはじめとする青年の決起、広島の教育労働者の決起が、さらなる展望を力強く示している今、戦争のない世界、差別のない世界、過労死も貧困もない世界をつくるために、あらゆる世代、あらゆる地域で婦民が先頭に立って闘うことを、今日あらためてここに決意します。
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